うちのおフロは・・・
 30年ほど廃屋だった我が家の風呂は、実はゴエモン風呂なのです。「何、それ?」という若い人のために説明すると、ゴエモン風呂とは一言で言えば薪風呂です。鉄製の浴槽の下にカマがあり、木を燃やして、直接浴槽をあぶって水を温める風呂なのです。野趣あふれると言うか、アウトドア的と言うか、とにかく、「風呂とはこうあるべきだ。」と主張しているような愛しきオフロです。

 初めてそれを見たときは、まるで時が止まって取り残されている様な不思議な感覚で、それと同時にどこかワクワクしている自分もいました。また近所の人の話によると、前の人は風呂を作ってそんなに経たずにこの地を離れたということで、傷みが少なくタイル等もかなり綺麗なのです。しかし水廻りゆえに基礎が随分下がっているみたいで、浴室のいたる所に亀裂が入り、そこから外が見える所もありました。

 村に来て、家の修繕を始めた時にまず手をつけたのが、風呂と汲み取り便所です。(現在の大田村は下水道が整備され、トイレは水洗になりました。)この頃は、母屋が住めるような状態では無かったので、まだ機械の入っていない空っぽの工房にテントを張って寝起きをしていました。そこにガスレンジを持ち込み、水はホースでひいて、ブロックで簡易流し場のようなものを作って炊事をしていたのです。毎日がキャンプの様な日々でしたが、これはこれで、今となっては楽しい思い出の一つになっています。

 当時はまだ結婚していなかったのでテント暮らしも可能でしたが、結婚が半年後に迫っていたので、何とか畳の上で生活できる様に急ピッチで家作りを進めました。約半年間テント暮らしをしながら、家の修繕や工房開設の準備と、アルバイトをしていました。この辺の工房開設までの話は、一度まとめて書こうと考えています。


まだゴエモン風呂を見たことが無い方のために、綺麗なところではないですが写真をどうぞ。


 鉄製のゴエモン風呂です。現在製造している会社は、広島県に一社のみとなってしまったようです。丸型や角型、内部がホーロー引きのものなど、意外と種類が豊富にあります。アウトドアでの露天用もあります。

 入るときは丸いスノコにバランス良く乗り、スノコごと入ると、熱い風呂の底に触れずにすみます。薪で焚いた風呂は冬でも湯冷めしにくく、いつまでも体はポカポカです。


 下の一番大きな扉を開けて、薪をくべます。中は耐火レンガで出来ています。上の二つは掃除口で、ここからススをかき出します。中にはちょとしたスペースがあり、この中でも燻製はできます。

 下では風呂焚きついでに、焼き芋やジャガイモがとてもふっくらと焼けます。春には裏山で破竹の竹の子が沢山採れ、それをここで焼くととても美味しく頂けます。

 来た当初は掃除口も焚口も壊れていましたが、全て新しい物に交換し、壁に漆喰を塗って補修しました。


 薪はしばらく置いておき、径のあるものは斧で割って乾燥させて使います。長野などの別荘地では、かなりの値段で薪が売られていますが、この辺りではタダです。むしろ山がきれいに片付くので、薪拾いは歓迎されます。

 これ以外に仕事でもかなりの端材が出るので、小物などに利用した後の小さな端材などを、薪に使わせてもらっています。

 そして最近は、村でもさすがにゴエモン風呂は珍しくなりつつあり、夕暮れ時に煙突から立ち上る煙も、年を追うごとに減ってきています。
 先程の焚口の先がここにつながって、煙突から排気されます。年に一度は煙突掃除をしないと、内部のススに引火し、煙突の先から火の粉を吹いて火災の危険があります。煙突に専用のブラシをかけ、赤いレンガを外してかき出します。バケツ一杯の真っ黒いススが毎年取れます。

 これはレンガで組んであるのですが、排気漏れが激しかったので、ここも漆喰で塗り固めてあります。(2004.11)

・ゴエモン風呂関連のサイトはこちら

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